アメリカでは、サンデーカーペンターにいそしむのが、ごく普通の生活になっています。
ところが日本のご亭主とくれば、休みになればゴロ寝で「めし」「風呂」がいまも主流。
戦後、私たちは欧米の良いところを積極的に取り入れてきたはずで、住宅だってツーバイフオーエ法が定着してからもう20年以上。
湿式工法から乾式工法へと大きく転換して、椅子の生活も「昔から日本はこうだった」と錯覚してしまうじらいです。
しかし、住宅の日常的ケアについては、「壊れてから直す」という昔ながらの意識が全然変わっていないようです。
漆喰の塗り直しや、瓦の葺き替えはプロでなければ無理。
しかし、サイデイング(外壁材)やトタン(亜鉛でめっきした薄い鉄板)の修理はちょっと頑張れば可能です。
でも、そんな風景にはとんとお目にかかりません。
だから住宅の傷みが早いと言っても過言ではないでしょう。
木造モルタル造住宅は20年、普通の厚さの鉄骨造なら27年、もっと鉄骨が厚いのは34年、鉄筋コンクリートなら47年と法定耐用年数が決められています(平成10年改正)。
これは、ふつうに維持すれば最低でも住宅はこれだけもっと見なして決めた年数です。
これは逆に考えると面白い、というよりも恐ろしいことに気づきます。
つまり、使いっぱなしだと年々劣化が進み、木造の住宅なら20年経てば価値がなくなる、すなわち朽ちてしまうという考え方が前提になっているのです。
こんなに早く家がつぶれたんじゃ、たまったもんではありません。
しかし、実際にはこの程度の年月で老朽化してしまう例が少なくないのです。
雨樋の劣化は5年後ぐらいから目立ち始めて寿命はせいぜい10数年、カラー鉄板は7~8年でサビがくるし、スレート瓦も10年経てば破損し始めます。
これらを放置すれば軒の裏に雨がまわるのが早くなって、軒天が腐ったりして大修繕が必要に……。
住宅がウン十年もっといっても、部品一つ一つがそれだけもつわけでなく、傷んだら補修を繰り返して初めて耐用年数以上の時間が稼げるということなのです。
でも、一戸建てはまだマシ。
自分さえ積極的に取り組めばメンテナンスが可能ですから。
しかしマンションは大勢の世帯が住むだけに、最初からがっちりした建物管理計画がないと悲惨です。
途中で計画を立てようにも議論百出でちっともまとまらないのです。
結局ずるずる時間が経ってスラム化してしまったという例を随所で見かけます。
コンクリート造のマンションだって一戸建てと同じように、部品は短期間のうちに劣化し始めます。
しかも普通のコンクリートは防水性がないだけに定期的な塗装は必須の条件。
こうした管理計画がないマンションは購入を避けるべきです。
修繕積立金がとっても安いというのは危険度の高いことの目印になります。