不動産業者から住宅を買うときには、必ず「重要事項説明書」を前にして、宅地建物取引主任者から内容の説明を受けることになっています。
この重要事項説明書には、宅地・建物の権利の種類や内容をはじめ、法的な制限事項、私道負担、水道・電気など整備状況、契約解除や違約金、支払金の保全などといった極めて重要な事柄が網羅されています。
そしてこれを説明するのが国家資格をもった取引主任者となると、これはもう「説明を受けて疑間点がなければOKだ」と思ってしまいがちなもの。
しかし、そこはちょっと立ち止まって、冷静に対処することが大事なのです。
たしかに重要事項の説明にウソはありません。
記載事項に間違いがあれば、即解約の対象になりますから、業者としてもそんなミスを犯すはずがないからです。
しかし、重要なことが網羅してあるといっても、おのずと限界があります。
たとえば、「私道負担あり」と記載してあって、どの位置の何2mかまでわかったとします。
けれども、そこが建築基準法で規定する「道路位置指定」を受けていなかったりすると、道路として使えないのです。
場合によっては家が建てられないなんてこともあり得るわけです。
これなど、かなり悪質な部類に入りますが、業者が「そこまでの説明の義務はない」と開き直るケースもあるので、自分のほうからきっちり確かめなければならないのです。
またたとえば、物件がマンションの場合は修繕積立金の定めも説明されます。
しかし、修繕計画がどうなっているかとか、中古マンションであれば過去の経緯や滞納の有無などは説明されないのが普通です。
買って入居してみたら、計画がズサンで話にならないというのでは取り返しがつきません。
マンションは管理が命ですから、そこは極めて重要なはずなのですが、重要事項の説明から省略されるケースが多いのです。
また、重要事項の説明からすっぽり抜けているのが環境悪化要因、つまり付近に騒音を出す工場がある、脇がどぶ川で臭いもひどいし蚊も発生する、などといった住み心地に悪影響を及ぼす要因です。
これらは主観的な要素もあるので、重要事項の説明からは省かれます。
しかし住む側にとっては重大問題。
取引主任者も人の子で、都合の悪いことは率先して言いたくはないわけですから、どしどし質問する、こまめに現地に行って見るという姿勢がないと失敗を招きます。