契約を結ぶ会社(ハウスメーカーなど)と実際に工事をする業者は別です。
これが住宅業界のごくあたりまえの形態だとしたら、ハウスメーカーはいったい工事中に何をやっているの~という疑間が当然がわいてくるでしょう。
工事が始まってからハウスメーカーのやるべきことはただ1つ、現場の管理です。
着工する前に、あなたは工事担当部門から現場監督を紹介されます。
その監督が工事の進行をすべて取り仕切って、あなたと会社を結ぶいわば唯一のパイプになるのです。
ですから、どんな下請けに任せていても、監督がしっかり見ていてくれれば問題は起きないはずなんです。
しかし、その監督はあなたの家だけを担当しているのではなく、一人でいくつもの現場をまかされています。
多いときには10から20件もの現場を担当しているときもあるのです。
そしたら週に1回でも来れるかどうか。
これが住宅に欠陥が生じる要因としていつも指摘されていることです。
よくあるのは安い工事費で請け負った下請け、孫請け業者が材料を落としたり、工期を短くして人件費を削減するパターン。
下請け←孫請けと仕事が流れていくうちに中間搾取で工事費が削られていくのは世の常です。
たとえば基礎コンクリートがまだきちんと固まっていないのに、型枠をはずしてさっさと他の現場に行ってしまうーなんてことも。
もっともこんな意図的なものではない単なるミスだって、監督が見ていなければ修正されないまま進行してしまうから同じことですけれど……。
もう1つ、自社の社員が監理をするやり方で本当にチェック機能が働くのかどうかという間題があります。
米国には公的な資格を持つインスペクターによる厳しい工事検査を義務づけた制度が一部にありますが、日本にはまだそういう制度はありません。
慎重を期すならこのやり方がベストなのですが、それをやるとしたら監理を引き受けてくれる人をあなたが自分で探すしか手はないのです。
建築士の資格をもった第二者がふさわしいのですが、設計から依頼するのとは違って、監理だけとなると探すのがむずかしいのが現実。
この本の最後の章に民間相談機関を紹介してありますから、いちど相談してみることをお勧めします。