この「専有卸」も言葉の意味から説明したほうがよいでしょう。
マンションの場合は、1軒の住宅を建てるときに比べて、格段に複雑なプロセスを踏まなければなりません。
土地の取得にはじまって、採算性や法的問題あるいは近隣問題をクリアしなければならないからです。
そうしたことからマンション業界には、土地の仕入れから建築確認取得までの一切を行って、それをそっくりデベロッパーに売ることを専門にする業者が存在します。
これが「専有卸」で、それでできあがったマンションが専有卸マンションというわけです。
分譲業者にとっては煩わしい作業を一切省くことができ、すぐに着工して分譲できるというメリットがあります。
このため、多くの分譲業者は大なり少なりこうした専有卸からの取得を行っている模様です。
しかし、説明するまでもなくこれは流通過程が1つ増えるということ。
すなわち価格が高くなるということに他なりません。
もし価格が高くない場合(たとえば近隣に同じようなマンションがあり、価格水準も同じような場合)には、どこかに秘密のコストダウンがあると思うべきでしょう。
最初から営業経費を圧縮して利幅を縮めてまで分譲することは考えにくいので、やはり施工費にしわ寄せがいっていると見るのが普通です。
欠陥とはいわないまでも、施エコストを圧縮すれば住み心地に跳ね返ってくるのは自明の理。
なるべくなら専有卸マンションは避けるのが賢明です。
では、どうすれば専有卸を見抜けるか~そのポイントを伝授しておくことにします。
まず建築確認申請の名義を確認しましょう。
これが分譲業者と違う名義であれば、それはかなりの確率で専有卸マンションです。
名義が分譲業者になっていても、もう一歩突っ込んで確認しようとするなら土地の登記簿謄本を見ます。
「甲区」に所有者の名前があるので、これがしばらく前から分譲業者の名前なら合格、少し前まで他の業者の所有になっていれば専有卸マンションの疑いありです。