丸投げという言葉から説明しましょう。
一口で言えば、建築工事を請け負った業者が、自分は何もせず(あなたとの窓口になっているだけで)、工事はそっくり下請け業者に任せてしまうことです。
これにどういう問題があるかというと、あなたから請け負った業者(元請け)は何もしないのにしっかリピンハネします。
それを受けた下請け業者は、適正以下の価格で工事をするので必ず手抜きをする、という悪循環に陥るわけです。
建築工事は複雑な工程を踏み、さまざまな業種が作業を分担して行うものなので、請け負った業者が工事をまったく外注しないということはほとんどありません。
その意味で建築工事は外注産業といっていいのですが、そうした工程ごとに作業を外注するのを丸投げとはいいません。
繰り返しますが、丸投げは工事を全部外注してしまうことです。
「そんなケースは少ないだろう」と思うかも知れませんが意外に多いのです。
すると、あなたは、もっと安く買えるはずのマイホームを高く買ってしまうことに……。
そればかりでなく、どこかに手抜きが潜む可能性が高い住宅を買ったことになります。
中には、契約書に丸投げすることが堂々と書かれている場合もあります。
といっても素人にはわからないようになっています。
「協力会社が施工する」などという表現がそれで、その協力会社がどこなのかまでは書いてありません。
こんな場合はどこが施工するのかきっちり確かめておくことが大事です。
というよりもむしろ、そんな曖味な業者と契約しないで、もっと明快な契約書を用意している業者を選択するのが正解です。
マンションや建売りにも、この丸投げが少なからずあります。
やはり生じる弊害は同じで、高い買い物、悪い買い物になる可能性が高くなります。
ただ、丸投げかどうかがわかりにくいのが難点で、これを見抜くにはプロの目に頼るのが一番でしょう。
一般論としてマンションの場合は、小規模なマンションでとくに高級でもないのに大手ゼネコンが施工業者になっているときは、やや疑間の目で見るのがよさそうです。
デベロッパーは、いろいろなしがらみから実績のない建設業者を使わなければならない場合があり、そうしたとき形式的に大手ゼネコンを冠にすえることがあるからです。
こんなとき大手ゼネコンは何もしません。
何もしないで冠料だけ取りますから、割高物件になるというわけです。
大手ゼネコンの名前があっても購入者には何のメリットもなく、むしろ名前を借りなければならない程度の業者が施工しただけ、品質が劣ると見なければなりません。