敷地の広さに対する関心は高くても地質にまで思いをめぐらせる人は多くないのが現実です。
しかし、住まいづくりで大切なことは、本当は敷地の広さではなく敷地の地質なのです。
地面の下、どの程度に地下水があるのか、地面の下がどんな物で成り立っているのか、産業廃棄物で埋め立てられていないか、どの程度の重さまで耐えられる地質なのかにぜひ関心を払ってほしいところ。
これを敷地の「素性」といいます。
最も簡単な調べ方は、自分でスコップを使って1メートル程度掘ってみることですが、しかし、これでは素性の一部しかわかりません。
本来はスウェーデン式サウンデイング方式という調査方法で、専門家(地質調査会社)に調査してもらいます。
この方法で地質の大方は推定できますが、これでも「地耐力」は詳細にはわかりません。
したがって、地耐力まで確かめようとすれば、「地耐力調査」を専門会社に依頼することになります。
このデータは施主が用意しておくのがベストです。
そして、「この地質の土地で住宅を建てるとした場合、いくらでできますか」と概算を聞くのが正しい姿勢です。
柔らかい地盤でも普通の地盤でも、固い地盤でも住まいは建ちます。
ただ、「地球とつなぐ基礎」にかかる工事費が異なってくるのです。
普通以上の硬さがある敷地地盤なら、基礎にかかる工事費は布基礎1mあたり1万5000~2万円ですが、軟弱地盤ならベタ基礎にする必要があります。
そうなると、布基礎の工事費の他に底盤の工事費(坪あたり2万2950円程度)が加算されます。
ただ、この工事が当初からわかっているときは、建坪30坪として70万円程度の増額で済みますが、工事途中の変更になるとこの金額では済みません。
実際、工事をストップして裁判で争っているケースがあることを知ってほしいものです。
相場より安い土地が買えたとしても、安く住まいが建つ切符を買ったことになりません。
土地代と基礎工事代の合計は、そのほかの条件が似かよった土地の場合はおおむね同額であることを知っておきましょう。