住宅とは「雨露を凌ぎ、外敵から身を守る器」といわれますが、どうもこの定義はしっくりしません。
キャンピング・カーも客船も、宇宙船もこの定義にかなっていると思いますが、これらを「住宅・住まい」とはいいません。
その大きな理由は、これらの物は土地に固定されていないからです。
住宅・建築物には、土地に基礎をもって固定されていることが必要なのです。
住宅がそのまま水に浮かんでいれば、それは「やかた船」といいます。
プレハブ住宅とは、住宅の部品を現場で組み立てる前に、別の個所で量産する住宅の生産様式のことを指します。
したがって、音がそうであったように、下小屋という作業小屋で木材を加工して、一挙に現場に持ち込んで建前(棟上げ)を行い、建物をつくっていく方法とは区別して考えています。
ところで、このように上家(うわや)は、手作業から工場生産に移行してきましたが、肝心の土地は昔のまま。
ここに、プレハブ住宅生産がもつ大きな問題があることに気づくはずです。
それは、住宅が建つ土地のことがわからないのに、どうして建物の設計ができるのかという疑間です。
プレハブ住宅のパンフレットを見て、「この住宅にしよう」と決めるとき、それは車の購入などとはかなり違うことに、いま一つ慎重な心配りをしなければなりません。
希望した住宅が、自分が所有する土地の地質にかなったモノかどうか、かなった基礎をつくるためには、どの程度のお金がかかるのかを知らないと、大変なことになります。
車はこんなことに頭を使う必要はありません。
せいぜい車庫に入るかどうか計るCらいでしょう。
プレハブ住宅会社は、
①強くて良い敷地地盤、
②まあまあ普通の敷地地盤、
③比較的良くない敷地地盤、3つを想定して構造計算をしています。
しかし多くの営業マンは、
①の強い敷地地盤を前提に工事費を計算する傾向がありますから、工事が始まってから「地盤が弱いので軟弱地盤用の基礎に変更しないといけない」などと、工事変更追加工事費を請求してくることがあり、それでトラブッているケースが少なからずあるのです。
契約前に敷地地盤の調査をしないと、プレハブ住宅は災いの種を買うようなもの、ということを肝に銘じておきましょう。