「頭金10万円でOK」とか「ローンが95%まで使えます」などという広告が目立ちます。
売れ行きにかげりが見えるたびに繰り返される販促(販売促進)の常套手段です。
このすべてが悪いとは言いませんが、よく考えるとわかるように、すんなり売れる自信がない物件だからこそこうした販促手段を講じるわけで、景気が後退しても、ブームが去っても自信のある物件にはこんな手段が講じられることはありません。
ということで、「頭金がいらない」あるいは「小額で済む」という物件には何らかの弱点があると踏んでおくのがむしろ正解です。
通常、住宅ローンは物件価格の80%までしか組むことができません。
これは金融機関が「頭金を20%貯めることができた人なら返済が滞る可能性が低いだろう」「万一滞っても担保物件の処分で相殺できる」と踏んだところから生まれたもので、常識的な融資の上限額になっています。
そういう観点からすれば、この上限額を超えて借りるのは、将来的にローン返済に破綻をきたす危険が高まるということで、欠陥住宅の購入とはいわないまでも、住宅の欠陥購入との見方ができなくもありません。
このように、住宅の側にも弱点が潜んでいる可能性があり、またあなたの側に問題が起きる危険性があるわけですから、頭金が安いからといって簡単に飛びつかない姿勢が大切です。
ただ、住宅金融公庫は平成10年度から、いわゆる住宅ローンの80%しばり(物件価格の80%までしか貸さない)を臨時的に撤廃しています。
低迷を続ける景気の浮揚策として採られた措置で、公的機関がこうした措置を講じきるを得ないほど状況は深刻ということです。
もちろんこの措置には、「返済に無理が生じない場合」という前提条件が設けられていますが、いずれにしても利用すればリスクが拡大することは否めません。
実質的に融資上限額が引き上げられ、希望者も増えるでしょうが、利用には慎重でありたいものです。
さて、公庫はともかく、一般に頭金が少なくて済む住宅を買おうとすれば、分譲会社のクレジットや提携の信販ローンなどを組み合わせてローンを組むことになります。
こうしたローンはたいがいが「5年後に一括返済」や「6年目から上乗せ返済」になっていて、当面の返済負担は小さく見えても数年後に急激に負担が増す仕組みになっています。
先行きの返済に無理がないかどうか、念には念を入れて確認しないと行き詰まる危険性があります。
頭金が安い物件は、詳細な物件チェックと詳細な返済計画の両方に慎重でなければなりません。