とくに土地や中古住宅の場合、欠陥物件をつかまないために登記簿を閲覧し、公図も確認しなさいというのが住宅購入解説本の常套句といってよいでしょう。
それはそれで間違いではありません。
不動産会社が交付する物件説明書などには絶対に間違いがないとはいえませんから、自分で登記所に足をはこんで実際に自分で公の書類に目を通すことは非常に大切なことです。
本書でも他の項目の中に、これに近い表現を用いてチェックを勧めているところがあります。
が、この両者に目を通せば絶対大丈夫かというと、そこが曲者です。
まず登記簿。
これには表題部・甲区・乙区とあって、表題部には土地については所在、地番地日、地積、登記の日付など、建物は家屋番号、種類、構造、床面積などが記載され、甲区には現在の所有者、乙区には所有権以外の権利関係が記載されています。
所有権関係を確認するには有効ですが、表面上の地目や地番や地積はわかっても、実際にその土地がどんな形でどこにあるかがわからず、しかも地目や地積が比較的新しい分譲地などはともかく、古いものは実際と違うことが意外に少なくないのです。
なにしろこの表題部、実は明治時代のものをそのまま使っているケースもあって、実際とはかなりズレていることがあるわけです。
そこで、位置や形を確かめるために公図を閲覧するという段取りになるのですが、これに問題があることも。
古い土地はやはり明治時代の図面をそのまま使っていたりするところがあるので、どこに目的の土地があるのかまったくわからないなどということも起こってきます。
すなわち、登記簿を見ても、公図を見ても自分の買おうとしている土地が「実際にどんな形をしていて正確な面積はいくらなのかさっぱりわからん」という事態が起こりうるのです。
こんな場合は、そのまま放置して業者の言うままに購入したりしてはいけません。
土地家屋調査士に依頼して、実測図を作成してもらうのがベストです。
また、契約したあとで実際の面積が小さいのがわかったのではたまりません。
ある種の欠陥住宅を買ったのと同じです。
そこで、契約するときは「登記簿より実測の面積が小さいときは、買い主の請求により売り主が1㎡あたり○万円を返還する」という特約を結んでおきましょう。