建売り住宅の場合は、車の購入などと同じように既成の契約書があらかじめ用意され、それに基づいてほぼ機械的に契約することが少なくありません。
しかし、注文住宅の場合は契約の席で契約書を作成するのがほとんどですから、請負契約約款の条項を、席上で書き直させることができます。
私が伝授したとおりに、買い手が契約の席上で、「瑕疵担保期限の延長」や「工事遅延損害金の基準」「争いを解決する機関」などについて書き直しを要求し、そのとおり書き直してもらったケースがいくつもあります。
ですから、良識ある建築請負会社ならわかってくれます。
私は、目安としてわが国の標準約款といわれる『四会連合協定約款』の請負契約約款の中にある、ひどく片務的な条項を手直しした雛形をいつも拙著の末尾に掲載していますが、これを使って契約する人が出てきていることをお知らせしておくことにいたします。
コトが起こってからではなく、コトが起こる前に契約約款に目を通し、不合理な個所は直してもらうことです。
それを拒む業者なら、いさぎよく別の会社との契約を考えましょう。
業者は、獲物が釣れる前は意外に柔軟に対応する習性がありますが、釣った魚には手のひらを返したような対応をしますから、ことは、契約時までに完了させておくべきです。
たとえば工事が遅れた場合の遅延損害金が、1日につき総工事金額の1000分の1か、それとも総工事金額から出来高を差し引き、仕がかり工事代金を差引いた残り工事費の1000分の1か、では大きな違いです。
後者だと50日遅れてもおおむね0円ですが、前者なら総工事金額の200分の1になります。
遅れても責任をとる意志のない業者との契約はやめましょう。
このことは保証期間(瑕疵担保期限)にもいえます。
大枚をはたいて買った商品の保証期間が2年なんて論外です。
ましてや、無過失責任であるべきなのに、過失責任と書いてある契約書なんて、売り手の勝手な契約書ですから書き直してもらいましょう。