近頃の造成地は平坦な土地が極めて少なくなりましました。
一見平坦な造成地に見えても、それは凹凸のある土地を切ったり(削ったり)盛ったり(埋めたり)して平坦にしてあるだけで、元々の状態は丘陵だったり窪地だったりすることがほとんどなのです。
というのも、誰でも考えればわかることなのですが、住宅は最初は平らなところから建ちはじめます。
最初から平坦な土地は比較的地盤が丈夫で使いやすいし、造成するのにお金がかからないからです。
そういうところから市街地が発達していって、次第に外側に広がっていきます。
すると残るのは丘陵地だったり湿地だったり、条件の悪いところとなるわけです。
現在、大きな都市のほとんどでは、そうしたところにしか造成できる場所が残されていないので、供給されるのは丘陵地を切り開いて平坦にした土地が多くなるというわけです。
こうした丘陵地を切り開いて造成するとき、丘をそっくり削り取って平らにすれば一番いいのですが、削った土をどうするかが大問題。
莫大なコストがかかるし、下手をすると削った土で隣に新しい山ができるなんてことにも。
だから普通はこうした手段をとらず、図のように削った分を前に積み上げて、階段状の造成地をつくっていきます。
これを雛壇造成といいます。
こうすれば、削った土を他へ排出しないで済むのでコスト的にも最善の方法なのです。
さて、こうして造った土地の問題は、大きく2つあります。
1つは削ったところは地盤が丈夫ですが、盛ったところは弱いということ。
盛った部分が多い区画は十分な期間をかけて養生をするとか、地山に到達するまで深く基礎杭を打つとかしなければ家が傾いてしまう危険性があります。
また、擁壁や排水路の工事も重要で、これが不十分だと最悪の場合は崩壊の危険もあります。
宅地造成法という法律で基準が定められ、また自治体の条例でも基準が定められていますから、これらを完璧にクリアしているかどうかしっかり確認しておくことが大事です。
もう1つは、雛壇造成にはどうしても北側西側など日照面で不利な斜面ができること。
北側などは更地の状態ではそこそこに日が当たっていても、南側に家が建てば日照が遮られてしまうという立地が少なくありません。
こうした区画は家が建った状態を想定しながら、納得できるかどうかを慎重に判断することが大事です。