住まいをつくるとき、設計と工事監理を建築士に「業務委託」すると、おおむね工事費の10%程度の費用がかかります。
中には「5%程度でもOK」と立候補する建築士もいますが、しっかりと義務と責任を果たしてもらうには、10%程度は必要だと考えるべきでしょう。
そうなると、誰でも建築士を頼んで設計してもらい監理もやってもらうというわけにはいかなくなります。
3000万円の住宅なら300万円を建築士に支払うことになるので、仕事の中身よりも「財布の中身」を先に考えてしまいがちだからです。
そこで、住宅会社の営業マンから「うちは設計監理料はサービスです。
いただくのは確認申請料金のみ、安心してお任せください。
300万円といえば普通のサラリーマンの年収の半分ですよ」などと言われると、ほとんどの人は営業マンの言葉に「なるほど」とうなずいてしまいます。
お金があれば建築士に依頼したいが、お金がないから仕方がないのだと、自分に言い聞かせるわけです。
自分と面識のない建築士であることに一抹の不安を感じつつも、大手の業者だから問題なかろうと信じるわけです。
しかし考えればすじわかりますが、業者が抱えている建築士は業者のために働いているのであって、注文者のために働いているのではありません。
結局その建築士の費用は工事費の中に折り込んであるか、あるいはもっと別の方法で捻り出す……どうしてそこに気づこうとしないのか不思議なぐらいです。
というわけですから、10%が無理ならば、せめて主要工事のときの監理だけはやってもらうべきです。
契約前、基礎工事、建前時、引取り時の4回は、ぜひ自分に代わって監理してもらいましょう。
1回につき5~8万円程度で見てくれますから、合計でも30万円程度で納まります。
そのためには、工事請負契約のときに業者にこちらで監理を依頼する旨を伝え、申合せ書を取り交わしておきます。
喧嘩腰でコトに当たろうというのではなく建築がわかる代理人が加わることを双方で合意するのですから、業者にも異存はないはずです。