設計図と聞いても普通は、間取り図じらいしか頭に浮かばないかもしれません。
でも、まさかチラシや住宅雑誌に載っている簡単な間取り図だけで、家が建つなんて思ってはいないでしょう。
だから契約するときに、あの程度の間取り図だけを見せられてOKを出したとしたら大問題。
まるで何にも取決めをしないでお金を払うのも同然ということなのです。
普通、ハウスメーカーや工務店との契約は設計契約も兼ねていて、見積りに設計費が含まれていないこともあります。
それで何となく、簡単な間取り図程度でも納得してしまうのかもしれません。
しかし家を建てるには、左表に挙げたように何種類もの図面が必要です。
間取り図といっているのはこのうちの平面図のことで、しかも企業が最初に出してくるのは、縮尺100分の1の簡易な図面。
実際の施工には50分の1の詳細なものが必要です。
この両者では盛り込まれる情報量が格段に違います。
さらに立面図や断面図、設備図といった各種の図面(実施設計図)を揃えて初めてきちんとした契約が成り立つのです。
たとえば「展開図」というのを見ておかないと、完成してから「あの窓が小さすぎる!」などと後悔することになりかねません。
しかし実際には、配置図、平面図、立面図じらいで契約してしまう人が非常に多く見られます。
設計はほんの少し変えても工事や費用に影響します。
それなのに「設計の詰めは後にしましょう」などという営業トークがまかり通っていて、むざむぎそれに乗せられてしまう人が大勢います。
こんな契約をするなんてとても無謀だと思いませんか。
実施設計はサービスでできるようなものではありません。
企業によっては契約以前に実費をとって実施設計をするところもあり、むしろこちらが本来の姿といえるでしょう。
もちろん注文住宅だけでなく、建売り住宅やマンション購入時にも設計図書に目を通す必要があります。
構造や性能については建物をざっと見ただけではわからないからです。
自信がないときは専門家に頼んで見てもらいましょう。
ただし、莫大な資金を注ぎ込む買い物なのですから、ある程度は自分も判断できる基本的な知識だけは学んでおかなければなりませんが。