見積書は中身(明細)が重要です。
しかし多くの工事見積書を見て思うのは、明細が比較的しっかりしている場合でも、木工事だけは「一式」となっているケースが非常に多いということ。
これでは後日の「トラブルの種」と契約したようなものです。
「梁が細すぎるし、トコ柱がお粗末なので『少し良いモノに代えてください』と言ったら、代えてはくれたが追加工事として代金を請求されてしまった」、などは相談者の80%もが述べる苦情です。
どこに問題があるかといえば「トコ柱に何を使うのか」「梁にはどんな断面=太さのモノで、どんな樹種のものを使うのか」を書いた契約をしないからです。
「そんな細かいことが、どうして素人の私にわかりますか。
もし書かれていても私にはわかりません」と開き直る相談者もいます。
でも、それではダメなのです。
高額な住宅という商品を建てようというには大雑把すぎるのです。
ここで少しだけ、本造住宅造りの流れを説明しておきましょう。
住宅業者は設計図書ができあがると、それを材木店に渡して見積りをとります。
材木店から業者に提出された書類には、使用木材の一部始終が詳細に書かれ、予定金額も記入されています。
本来は、建築士が設計図書に使用する材木の樹種と等級・断面=太さを書き込みますから、その設計図書を材木店に渡せば、設計図書どおりの木材を使った場合の見積書が作成できるということになります。
ただし、最近の住宅の建築士のほとんどが、木材の中身を書きません。
まったく工事業者にお任せといったところです。
だから、施主が「トコ柱がこれじゃ、少し貧弱です」などと言うと、別途工事として材木店から請求されることになってしまうのです。
あなたはスーツをオーダーするときに、生地を決めないで依頼しますか~洋服屋さんの自由に任せるようなことは、普通は考えられません。
住宅もまったく同じはずなのです。
建築士は発注者と相談の上で、図のような「木材調書」というものを一戸一戸の住宅について作成するものなのです。
また、それを作成してもらわないと、正しい工事見積書ができたことにはなりません。
この木材調書さえ提出してもらえば、後日、本材に関して問題が起こっても、それを解決するのに時間も費用も多くはかかりません。
木材調書のない木造住宅の請負契約は、生地を決めないでスーツを注文するようなものだということを知っておきましょう。