建売り住宅の売買は「現状有姿(げんじょうゆうし)」の取引といいます。
簡単に言えば、「あるがままの姿での売買」ということで、既製服を買うのと同じです。
したがって、既製服を買ったあとで「ボタンの色が気に入らない」「襟の形がきらい」などの理由では返品できないのと同じように、建売り住宅も気に入らないからといって改変させたり、それを瑕疵として損害賠償を請求したり、契約の解除はできないという意味です。
ただ洋服などは、まだ手を通していない段階なら、レシートを持参して「他のものに代えてくれませんか」と言えばOKしてくれるところもあります。
しかし、原則としては「断られても致し方がない売買形式」なのです。
建売り住宅では、こうした交換や返品にOKは絶対に出ません。
建売り住宅を買う際には、このことに十分に注意してほしいものです。
別の言い方をすれば、注文品なら製作中に変更ができるからいいけれど、既製品を買うときこそ自分にぴったりのものを買わないと困ったことになるということ。
建売り住宅の場合は専門的知識がないときは、専門家に頼んで十分に調べて買わないと後の祭りになってしまいます。
とくに最近は「紛らわしい契約」が増えているので注意が必要です。
というのも、「できていない建売り住宅」が登場してきたからです。
常識では、できていない建物を買うのは「請負契約」ではないかと思いがちですが、そうではありません。
「建売り住宅」なのにまだ建物が建っていないケースが増えているのです。
この場合は「現物をよく調べて買いなさい」と言っても無理。
ですから、こういう「建っていない建売り住宅の売買契約」の場合は、最低でも
①設計書(設計図と仕様書)が十分に備わっていること
②工期が遅れた場合の遅延損害金を1日の遅れにつき総額の1000分の1以上にしてもらうこと、などを確認して契約書に署名押印するようにしたいものです。
さらに、設計図書を見ても素人にはわかりにくいので建築士(1級でも2級でも可)にチェックしてもらえば完璧です。
現実に、設計図書が完備していない建売り住宅を購入(契約)してしまってから、「約束と違うものができた」と言って相談に駆け込む人が少なくありません。
これは業者側だけの責任ではなく、買う側にも責任があります。
とくに「建築条件付き」という物件にこのケースが多いのでご注意を!建築条件付きの場合は、土地は「売買契約」、建物は「請負契約」にするよう提案しましょう。
その上で、工事監理人としてあなたに代わって工事を見てくれる建築士に3~4回程度、現場を見てもらうようにしたいものです。