注文住宅を建てるときには、ハウスメーカーなどと「工事請負契約」を交わします。
この時点であなたはまだマイホームを見ることができません。
モノを見ないで一生に1度という大きな買い物をするのです。
だから、この契約には相当の注意を払う必要があります。
ところが実際には非常に甘い契約をしてしまう人が少なくないのです。
契約内容をよくチェックしない、契約書類が不備なのに気にもしないーまるで「おたくの会社を全面的に信用して、何もかもお任せします」と言っているかのようです。
何を根拠にその会社を信頼するのかわかりませんが、そんな契約だと、もし欠陥があってもそれを立証するのが難しくなるでしょう。
甘い契約は、自ら落とし穴を掘っているようなものなのです。
ハウスメーカーや工務店に直接工事を依頼する場合は、「工事請負契約」の中に設計も含みます。
したがってこの契約の中には、どんな設計で、どんな材料を使い、いくらで、いつまでに建てるのかということがすべて盛り込まれなければなりません。
モノを見ないで契約するのですから、すべての内容が記された書類が絶対に欠かせないのです。
ところが問題が1つ。
これらの書類は決して素人にわかりやすくはできていないということ。
とくに設計図や見積書になると専門用語が多くて、判読するのがとてもたいへん。
そこで「まあいいや、面倒だから任せちゃおう」といった気分になりがちというわけです。
相変わらずあなたの頭の中には、展示場で見た豪華なモデルハウスがさん然と輝き、一方の建設会社の腹の中には自分が有利になるようなあの手この手がいっぱい。
だから記述があいまいだったり、あるべき書類がなかったりすることもよくあります。
建設会社が全部悪人だなどと言うつもりは毛頭ありません。
しかし、形のないものを買うのですから、徹底的にチェックしなければ、相手が自分のやりやすいようにコトを進めてしまうのもやむを得ないことだといえるでしょう。
そういう意味で請負契約には一種の「賭け」の要素があると考えねばならないのです。
大穴狙いのギャンブルをするのではなく、ガチガチの銀行レースにもち込むのが大事。
「注文住宅の契約は書類による取決めがすべて」ということをよく頭に叩きこんで、隅から隅までじっくり見て、すべてを納得してから契約するようにしたいものです。