新築マンションのモデルルームには2つのタイプがあります。
1つは建物の外に仮設でつくるもの、もう1つは建物内部の1室を使うものです。
両方とも順調に販売するための作戦が込められていて、それを知らずに見にいくと大失敗のケースがあるので注意が必要です。
まず、仮設でつくるモデルルームは「最も戸数の多いタイプ」でつくります。
つまり、最も売りたいタイプを見せるわけで、食指をそそるようにさまざまの工夫を凝らします。
恰好のいい調度を揃えるとか、仕上げを実際よりも高級なグレードにするとか。
そうやって買いたい気持ちを盛り上げるのです。
また、梁の出っ張り具合や天丼の高さなどが実際の住戸と違っていることが少なくありません。
仮設でつくったモデルルームは実際の住戸ではないのです。
しかし、そうやってデコレーションを施すので、自然にそのタイプに人気が集中し、他の夕イプより一足先に売れていくことになるのです。
モデルルームやモデルハウスが実物と同じだと信じ込んでしまうと、いざ買った物件を見て「話が違う」ということになりかねません。
図面と照らし合わせながら、何がどう違っているのかを詳細にチェックすることが肝心です。
一方、建物内部に設けるモデルルームは「戸数が多く、なかでも日当たりや眺望に優れたタイプ」を使います。
この場合は、実際に買おうとする住戸とモデルルームでは部屋の間取りが違うことを、しっかり頭に入れておかねばなりません。
たとえば、多くのマンションにはモデルルームの反転タイプがあります。
室内の配置が逆になっただけで雰囲気や使い勝手がずいぶん違うもの。
ましてモデルルームは一番いいところを使っているので、自分が買った住戸を見てガックリということがよくあるのです。
仮設のモデルルームでも同じですが、住戸は位置が違えば条件が大きく違ってきます。
エントランスと住戸の関係、エレベーターの位置、階数、非常階段の位置、窓外の景色などで、プライバシーの度合いや人の動きや音の間こえ方も違い、住み心地に大きく影響します。
ゆめゆめ「その住戸を買う」とは考えずに、「そこと何が違う」かを確かめるという視点でモデルルームを見なければいけません。