最近は、家を建てようという人のたいていが住宅展示場に行ってモデルハウスを見ます。
けれども、一度見ればわかりますが、モデルハウスは各社が競って飾りたてていて、日に見える材料はすべて高級品が使われ、かなり現実離れした豪華なつくりになっています。
そうした家が、たとえば予算2500万円で40坪の家を建てようとしている人の「モデル」になるでしょうか~たとえばそのモデルハウスの外壁がタイル張りだったとします。
予算2000万円台なら、おそらくモルタルか一般的なサイデイングでしょう。
イメージがかなり違います。
また床材だってモデルのものは12mあたり7~8000円以上します。
でも実際に使えるのは、せいぜい3000円程度のもの。
これも実際に比べるとかなり安っぽくなってしまいます。
システムキッチンなどにいたっては、何百万円もするようなものを置いてありますが、実際に入れられるのは何十万円どまりになるでしょう。
というわけで、現実とは大きな落差があります。
モデルハウスで夢見心地になった奥さんが、契約してから実際に使う材料をいろいろ見せられ、「えっ、こんなものしか使えないの!」とびっくり仰天するケースが、世の中にはいっぱい転がっているのです。
びっくりするだけならいいのですが、何とか夢を実現しようと、どんどん追加変更を重ねていくケースが少なくありません。
「モデルハウスにあったアレ、あのお風呂が欲しいの。
床材も変えてね」といった具合にやると、予算がどんどん増えていきます。
気がついたら300万円や500万円のオーバーなんてすぐ。
そうです、モデルハウスにいる担当者は「あなたの予算でこの家は建ちません」とはっきり言ってはくれません。
ですからモデルハウスを見るときには、「これは別世界だ」という認識が必要。
気に入った材料があれば、品名などを聞いてメモしておきましょう。
その上で設計してもらうときにその要望を出して、予算内で可能かどうか確認します。
ダメならあきらめるしかないのですが、一点豪華主義という手もあります。
注文住宅の場合は、設計の段階ではじめてどんな材料を使うのかを決めるわけですから、本当はモデルハウスなどないのだと思ったほうがいいのです。