南側に広い空地がある分譲マンション、あるいは建売住宅があったとします。
絶好の眺望で日当たりも最高、「これならベスト」と誰でも思います。
しかし、ちょっと待ってください。
超高額物件ならいざ知らず、一般的な分譲住宅にそんな絶好の条件のモノがあっていいのか~と少し疑ってみるのが常識というものです。
その立地にはもしかすると重大な欠陥が隠されているかもしれません。
というのも、マンション業者も建売業者も立地条件の良い立地と悪い立地が隣接していれば、悪い条件のほうから売ってしまおうとするのが常套手段だからです。
たとえば、工場跡地を取得したマンション業者が、そこに2棟のマンションを建てようと計画したとします。
このとき、先に建築を始めるのは北側の敷地。
なぜなら先に南側に建ててしまうと北側は日陰になって、そこに建てる物件が売りにくくなってしまうからです。
ひどい業者は、「南側にゆったり空間、日当たり抜群」などと宣伝して分譲し、残った南側の敷地を他の業者に売ってしまうという手を使ったりします。
そこに自社がもう1棟のマンションを建てれば、契約違反でトラブルになること請け合いだからです。
したがって、こういう土地の場合は、念のために眉にツバをつけてみる慎重さが大事。
前の空地は誰の所有か~どういう計画があるのか~などを確認して、できるだけ分譲業者から書面の形にしてもらい、保管しておくようにします。
建売り住宅も同じこと。
とくに小規模開発で各戸の敷地が狭い分譲住宅などでは、1戸おきに建物を建てて、住宅の間隔にゆとりがあるように見せるなどという手法も用います。
「ま、そこそこに空間があって日も当たる」と思っていたら、隙間に新たに家が建ってしまったなどということも少なくありません。
南側の区画割はどうなっているか~隣地境界線はどこか~など基本的な事項の確認を怠らないようにすべきです。
また、南側に広い屋敷があって絶好の借景などというのも安心できません。
いつそこが高層建築に変身するかわかりませんから、可能なかぎり隣地の様子も知っておきたいものです。
そのほか、最寄り駅まで遠い場合の「新駅開設予定」「バス開通予定」などは、鉄道会社・バス会社に直接問い合わせて確認します。
近頃は、予定の延期や中止、バスの既設路線の廃止などという場合もあるので、しっかり確認しないと大欠陥土地を購入するという悲劇に陥らないとも限りません。